「生食用」と「加熱用」の牡蠣って違いは鮮度!?

シーズンになるとスーパーに並ぶ牡蠣ですが、「生食用」と「加熱用」の表記がありますよね。スーパーに並ぶのは圧倒的に加熱用の牡蠣が多い気がします。生食用か加熱用かは鮮度の違いだと思ったそこのあなた!

それは全くもって異なるのです。

知らなかった人は是非、最後まで読んでみてください。

 

牡蠣の生態について

生食用と加熱用の違いを説明する前に、牡蠣の生態について説明します。牡蠣といえば広島県が有名ですが、実は世界各地の沿岸に生息しています。ではなぜ、食用の牡蠣は産地が限られているのでしょうか?答えは牡蠣の生育方法にあります。牡蠣は植物プランクトンを主食としており、植物プランクトンが多い海域で育っている牡蠣は成長が良く、栄養素豊富な濃厚な牡蠣になる傾向があります。実は牡蠣の生産地として名前を聞かない都道府県にも牡蠣は多く生息しています。しかしながら、食用として販売するのに向かない牡蠣が多いでしょう。

 

なんで牡蠣はあたるの?

牡蠣で食あたりになったことがある人は多いのではないでしょうか。牡蠣は植物プランクトンを餌にしていますが、体に取り込む際に、大量の海水も一緒に取込みます。その海水量はまさに20L/時間にも昇ります。実は、海水には植物プランクトンだけではなく、あらゆるウィルスも存在しています。このウィルスを牡蠣が体内に蓄積してしまい、人間が食すことにより、食あたりを起こすのです。

 

生で牡蠣を食べるためには

前述の通り、牡蠣は植物プランクトンとともに、ウィルスを体に取込み、蓄積させます。これを生で食べては危険です。牡蠣を生で食べるためには体に蓄積させたウィルスを何とかしなければいけません。考えられる方法は2つあります。

  • 最初からウィルスのいない海域で育てる。
  • 水揚げした牡蠣の内臓を人工浄化する

 2つのうちどちらかの方法でウィルスが牡蠣の体内にいない状況を作り出すことができれば、安心して生で食べることができますね。そうです!このどちらかの条件を満たす牡蠣こそが、「生食用」の牡蠣としてスーパーや飲食店に出荷されるのです。この生食用のルールは都道府県によって若干違います。

例えば、広島県では海域を3つにわけでおり、それぞれ、生食用での出荷に条件をつけています。

  • 指定海域・・・・・・採取した牡蠣をそのまま生食用として販売可能。
  • 条件付指定海域・・・採取した牡蠣を概ね20時間人工浄化(殺菌水に浸す)
  • 指定外海域・・・生食用として出荷不可能。
(広島県HPより)

鮮度の違いだと思われがちな「生食用」と「加熱用」の違いですが、実はこんな秘密があったのです。皆さん是非、スーパーで牡蠣を見つけた際には、「生食用」か「加熱用」かを見てみてください。

天然より養殖の牡蠣が美味しい理由

「生食用」と「加熱用」の違いがわかった皆さん、最後に、美味しい牡蠣を生産するための秘密を教えます。天然の鰻と養殖の鰻の価格に大きな値差があるように、世の中は養殖より天然のほうが、「美味しい」というイメージが根付き、価格も高い傾向がありますよね。実はこの理屈、牡蠣に至っては全然違います。

牡蠣は海中のプランクトンの量によりその生育度合や味が大きく変わります。「一日として同じ海はない」広島県の有名な牡蠣生産者が口にした言葉です。

この言葉の通り、海の状況は毎日確実に変わります。しかし、牡蠣は自ら泳ぎ、豊富な餌がある海域に移動することはできません。ここで人間の出番です。その日その日の海域によって、筏に吊るした牡蠣を移動させるのです。単純な作業に聞こえますが、ここには生産者のノウハウが多くつまっています。時には餌のない海域に連れて行き、健康で丈夫な牡蠣に育てたり、時には豊富な餌のある海域でたっぷり栄養を急させたり、このメリハリが味の決め手なのです。

そのため、同じ海域で獲れた牡蠣でも、牡蠣の生産者によって味が全く変わってきます。長年培われたノウハウでおいしい牡蠣を生産するために、今日も生産者は工夫を凝らしています。

最後にちょこっと宣伝を!

本サイトLA HALEでは、【食を通じて、皆様の「ハレの日」を演出していきたい】というテーマの元、トップフレンチシェフとタッグを組み、素敵な料理を販売しています。本記事で詳しく紹介した牡蠣を使った料理も複数取り扱っています。実はこの牡蠣、普通の牡蠣ではございません。

広島県内にて初の「食学会」に受賞された、川崎水産の「健牡蠣」という牡蠣を使用しています。本記事では牡蠣は生産者により味が大きく変わることを紹介させていただきました。食学会に認められた名実ともに広島No.1といえる牡蠣にふさわしいレシピをトップフレンチシェフに考案いただきました。是非、召し上がってみてください。